演題軽度外傷・熱傷に対するラップ療法の経験所属・演者こうどう小児科 幸道直樹抄録近年軽度外傷・熱傷に対する湿潤療法が注目されている。湿潤療法には適切な治療材料が必要であるが、演者はこれまで損傷にあわせて治療材料を選べる知識もなく一般小児科開業医では多種の治療材料を揃える事も難しいと考えて、この治療法の開始に躊躇していた。一方完全に湿潤環境を保たないラップ療法、開放性ウエットドレッシング法は汗疹などの心配はあるものの簡易で損傷部位の大きさを考慮する必要がないことから、外来でも実施可能と考え試みてきた。対象は2度までの熱傷と擦過傷などの外傷である。ラップを適当な大きさにしてワセリンを塗布し皮膚を覆い、その上からガーゼを当てて、漏れてくる浸出液を吸収させる。開始時は可能な限り翌日または翌々日に経過観察した。
症例数は少ないが経験から感じたことは
1:悪化する例がほとんどない。
2:保護者の治療参加意欲が強い。
3:患児が泣くことがない。
4:説明してみると意外と湿潤療法を知っており保護者が多いことであった。
治療対象をどうするかはまだ検討課題だが、一般小児科開業医が遭遇する軽度外傷・熱傷においては多くはこのラップ療法で対処できるのではないかと考え自験例を紹介する。