第14回近畿外来小児科学研究会:開催日 2008-04-20
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特別講演(1)

演題
開業医で経験する菌血症症例
演者
西村 龍夫
所属
にしむら小児科
抄録

発熱児の診療において一定の割合で深部重症細菌感染症(Invasive bacterial infections;以下,IBI) の患者が存在する.多くの発熱児の中から,IBIを鑑別することは小児の外来診療における最大の課題である.血液培養検査は最も確実にIBIを診断する方法であり,有意菌が検出された場合には,occult bacteremiaやその重症型である敗血症,局所感染である細菌性髄膜炎,細菌性肺炎,関節炎,骨髄炎などの続発がないかを慎重に鑑別する必要がある.当院で2002年11月から2007年4月までの54カ月間(4.5年間)に 467症例のフォーカス不明の発熱症例を対象として血液培養検査を行い, 25例(5.4% 95%confidenceinterval:3.5%-7.8%)で有意菌が検出され,菌血症と診断した.起炎菌は,肺炎球菌が18例(72%),Hibが4例(16%),その他の菌は3例(12%)であり,モラクセラ・カタラーリス,黄色ブドウ球菌,ストレプトコッカス・ミティスが各1例であった.最終診断はoccult bacteremiaが21例(84%)ともっとも多く,細菌性髄膜炎が3例(12.0%),細菌性肺炎が1例(4.0%)であった.細菌性髄膜炎は全てHibによるものであった.菌血症の起炎菌の大多数は,鼻咽頭に存在する菌であると思われる.


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