乳児のBCGの自然陽転

質問
初めまして。4歳の女の子、8ヶ月の男の子の母親です。

先日下の男の子のツベルクリン反応検査を受けたところ、発赤
12ミリで陽性と診断されました。最寄の医療機関で検査を受
けるよう指導されましたが、これはつまりどういうことなのか
わかりません。可能性としては、結核に感染していると言う事
なのでしょうか?

もちろん病院には行くつもりでおりますが、少しでもお教えい
ただければと思います. どうぞよろしくお願い致します。


お答え
こんにちは、Cyberこどもクリニックの西藤と申します。お便
りありがとうございます。ツベルクリン反応の自然陽転のこと
でお便りを頂きました。


>> 先日下の男の子のツベルクリン反応検査を受けたところ、発赤
>> 12ミリで陽性と診断されました。最寄の医療機関で検査を受け
>> るよう指導されましたが、これはつまりどういうことなのかわか
>> りません。

ツベルクリン反応もBCGも同じ予防接種と思われている場合が
ありますが、ツベルクリン反応は結核にすでに感染していない
かどうかを確認するための「検査」ですね。BCGを接種してし
まいますと誰でもツベルクリン反応は陽性になってしまいます
から、予防接種(この場合はBCG)を受ける前に潜在的な結核
がないかどうかを確かめているのです。

>> 可能性としては、結核に感染していると言う事なのでしょうか?

現在、結核に感染しているか、もしくは感染の既往がある(つ
まり過去に感染があった)のいずれかと考えられます。

だいたい2ヶ月以内に再度ツ反を行い、陽性が続く場合は家族
の検診を行います。それでも異常がなければ胸部のレントゲン
撮影で異常がないかどうかを確認します。それでも異常がない
場合は、学校入学時にツ反がありますので、それまで日常生活
の制限なく経過をただ観察する事が多いです。

一方、次の表に該当する場合は化学療法(抗結核剤)の適応と
なります。
化学療法の適応基準

1 中学生以下の者に対する基準

 BCG未接種BCG既接種
塗抹陽性患者との接触状況ありツ反発赤10mm 以上ツ反発赤30mm 以上(注1)
ありツ反発赤30mm 以上
(再検査では20mm以上)
ツ反発赤40mm 以上(注1)
既往に化学療法がなく、X線上学会分類IV型あるいはV型の所見を認める者の一部
(注1)かつ最近結核感染が強く疑われる場合
(注)乳幼児にあっては「結核定期外健康診断ガイドライン」の中の区分で「最重要」とされている初発患者と接触している場合には、ツ反陰性でも対象とすることが出来る。

2 義務教育終了後29歳以下の者に対する基準

 原則として結核集団感染で感染が疑われる者とする。
 ただし、感染源として疑われる患者が塗抹検査で大量の菌(ガフキー3号以上)を排菌しており、激しい咳を続け、かつ、当該年齢層の者との密接な接触をしており、結核感染が強く疑われる場合には、結核集団感染の場合に意外であっても対象とすることが望ましい。

引用:小児内科 1998 Vol.30 No.5 



以上のように説明すると、どうしてウチの子供だけが、と、家
族の方は大変驚いてしまわれるのですが、あまり動揺しないで
かかりつけの医療機関をまず受診して、詳しい説明を受けて下
さい。

私も年に1〜2人は必ずツベルクリンの自然陽転のお子さんに
出会います。平成8年度の保健所運営報告でも乳幼児を対象と
した15470名のツ反で1.28%の自然陽性児がいたと報告されてい
ます。100人に1人より少し多い目ですね。

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