ポリオワクチンの追加接種について

以下は野洲郡で19歳から21歳の方を対象としたポリオの追加接種の際に配布されたパンフレットからの引用です。


1.ポリオについて

ポリオ(小児まひ)についてポリオに感染した人の便中にポリオウイルスが排泄され、これが口に入ることによって感染します。ウイルスに感染しても、90〜95%の人は何ら症状が出ないで免疫ができます。5〜10%の人はカゼ様症状を呈し、感染者の0.1〜0.5%に麻痺が現れ、永久に麻痺が残ったり、呼吸困難により死亡することがあります。

2.ポリオに対する免疫について

ポリオウイルスに感染すれば症状が出なかった方にも免疫ができます。また、ポリオワクチンの予防接種により免疫ができた方についても同様です。免疫ができれば、ポリオにかかる心配はありません。

日本にはポリオウイルスはいないと判断されていますが、免疫を持っていない方が、ポリオ常在国(アフリカ・東地中海・ヨーロッパ・南東アジア・西太平洋地域)に旅行した場合、ポリオに感染し発症する可能性があります。ポリオウイルスに感染した場合、200人から1000人の割合で合で麻痺が現れています。

また、現在、接種されているポリオワクチンウイルスは体外に排泄されます。このワクチンウイルスが人から人へとうつっていく間に、弱めた毒性があともどりして強い力を持つようになり、発症するという可能性があります。日本でワクチン投与(乳幼児に投与)に関連して発生したと思われる麻痺患者の割合は、約200万回の投与に1人で、その内訳は、接種を受けた本人に関しては約400万回の投与に1人、接種を受けた者から感染し、免疫を持っていない家族等が麻痺をおこした人に関しては約500万回の投与に1人などとなっています。

なお、抗体を有している方が予防接種を受けたとしても、特に副反応の発生する率が高くなるということはありません。以上の場合の予防接種は法律に基づくものではなく、任意接種の対象となりますので、自費で接種を受けることになります。

3.ワクチンの免疫効果について

ポリオ生ワクチンによる抗体保有率は、平成6年皮の流行予測調査事業によれば、1回投与の場合は I 型で92%、II 型で99%、III 型で66%、2回投与の場合はI 型で98%、II 型で99%、III 型で87%となっています。 なお、子供の時にポリオの予防接種を2回受けていれば、今回の追加接種は1回で必要な免疫が得られると考えられます。

4.大人に対するポリオ予防接種の副反応について

ポリオ生ワクチンは副反応のほとんどない安全なワクチンですが、接種を受けた方又は接種を受けた方の家族等で免疫のない方が、きわめて稀に、生ワクチンのために起こったのではないかと考えられるような麻痺を起こす例があります。

その割合は、2で述べたとおりですが、これは乳幼児に接種した場合の結果ですので、大人への投与によって副反応がどの程度生じるかはよくわかっていません。

なお、1984〜1985年にかけてフィンランドでポリオが約20年ぶりに流行した時に、1985年に全人口(約480万人)の96%に対して、ポリオ生ワクチンの予防接種が行われましたが、大人にも子供にもワクチンによって麻痺が発生したという報告はありませんでした。

また、1994年、1995年に自衛隊員がPKOで海外派遣される時に、約7,400人の方がポリオ生ワクチンの予防接種を受けましたが、副反応の報告はありませんでした。


【参考】
たしか世界保健機構(WHO)から西太平洋地域のポリオの絶滅宣言が2年後に出されると聞いています。(記:1997/12/28)

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