水痘(水ぼうそう)

水痘(水ぼうそう)
 水痘は水痘ウィルスによって起こされる発熱と全身の水疱(内部に水を持った発疹)ができる感染症です。感染力が強く集団生活をしているこども達の間で大流行します。潜伏期間は約2週間で、体中に赤い水疱が出現して始まります。健康なお子さんの場合は通常7日間くらいで「かさぶた」になって治ります。またお母さんからの免疫は授かる事ができず、生まれたばかりの赤ちゃんが水痘に罹り重症になることがあります。
予防接種の必要性
 水痘はこどもにとって決して楽な病気ということはありません。年長のお子さんでは高熱が出ることもありますし、皮膚の弱いお子さんでは重症化することもあります。また水疱は痒くを掻きむしって二次感染をおこすと瘢痕が残ります。また水痘は治ってもその後神経節に残存し、将来帯状疱疹になって疱疹後神経痛で悩まされることがあります。

 健康小児への水痘ワクチンの接種はそのメリットが大きいと言うことで1995年米国、欧州で認可され世界的に広がりつつあります。米国では小児全員に接種しています。実は水痘ワクチンは日本で開発されました。疫病予防の意識が高い海外で先に普及し、今日の日本ではまだ接種率は高いとはいえません。

予防効果
 水痘ワクチンの効果はおよそ90%と言われてます。他の予防接種に比べると予防効果はやや低めといえます。免疫を高めるために複数回の接種を実施している国もあります。
副作用
 生ワクチンですから免疫反応がはじまる接種1週間後に軽い発疹や微熱がでる可能性はありますが、頻度は低いようです。その他に水痘ワクチンは重大な副作用の報告はありません。過去に水痘にかかったかどうか不明でも水痘ワクチンを接種して特に副作用が強くなることはありません。
水痘患者に接触した時の予防法として
 水痘に罹患したお子さんと接触してから72時間以内(3日以内)に水痘ワクチンの接種を受ければ80%の予防効果が認められています。水痘患者は発疹がでる2日前から周囲の人に感染する能力があります。家族内で罹患に気づいたときはすでに2日が経過しており、接種するかどうか躊躇している余裕がありません。

 ただし、1歳以下のお子さんでは予防接種は推奨されておらず、水痘の治療薬アシクロビール(商品名:ゾビラックス)を内服してもらう場合があります。

覚えておきたいこと
 予防接種は病気から体を守ることはもちろんですが、実は病気を他人にうつさないという大事な目的もあります。ご自身のお子さんは罹患して何ともない病気でも、体に障害のある方や体調の悪い方にはたいへん大きな影響を与える事があります。1回の予防接種はお子さん一人の健康を守るだけではなくて、周囲への感染を予防し集団生活をしている他のお子さんにも恩恵をもたらしていることも覚えておいて下さい。

予防接種について

 西藤こどもクリニック