第5回近畿外来小児科学研究会・一般演題抄録
演題
腸管出血性大腸炎およびHUSにおけるO157LPSIgM値とラテックス・スラド凝集法によるO157LPS抗体検出キットの検討
演者
○川村尚久 1)、竹中義人 1)、 山口 仁 2)、山崎 剛 1)、玉井 浩 3)
所属
1) 大阪労災病院小児科
2) 山口こどもクリニック
3) 大阪医大小児科
抄録
 O157感染が疑われる患児の培養結果が陰性であってもHUS発症以前に血液中に存在する抗体検索等によりO157感染を証明できれば、臨床的に必要な早期対応が十分可能となる。同疾患群の血清を用いて血清O157 LPSIgM (ELISA)値の測定および市販されているO157 LPSに対する抗体の簡易迅速検査キットの有用性を検討した。対象:1996年当施設の保存血清の他、国立小児病院小児医療研究センター感染症研究部の保存血清41例73検体を用いた。O157が分離同定されたものは68例123検体であり、残りの10例21検体は臨床症状、集団発生状況、居住地区、HC発症日時等より強くO157感染が疑われたものの便培養が陰性で、O157 LPSIgM-ELISAが高値のものをO157感染例と判定した。また起炎菌が明らかなO157以外の感染性腸炎や発熱性疾患群をコントロールとした。方法:O157 LPSIgM-ELISAは竹田らの方法にて、また同時に三菱化学(株)により開発されたO157 LPSに対する抗体のラテックス・スライド凝集法による簡易迅速検査キットを検討した。結果:O157LPSIgM値は感染後早いものでは第2病日から上昇し、6病日以降全例陽性を示した。簡易迅速検査キットはIgM-ELISAに対して感度84.1%、特異性99.3%、一致率94.9%で有用であった。