第4回近畿外来小児科学研究会・一般演題抄録
演題
小児上気道感染症に対する抗生物質使用ガイドライン作成に試み
演者
○武内一
所属
耳原総合病院小児科
抄録
 3年前から日本外来小児科学会年次集会WSで、耐性菌が急速に広がっている現状に危機感をいだく小児科医が中心となり、いわゆる上気道炎に抗生物質を処方している現状を再検討しようと診療調査とその検証を始めました。
 一年の準備を経て、一昨年は耐性菌の拡大を防ぐための慎重な抗生物質使用の必要性があること、昨年はさらに踏み込んで、小児上気道炎に対する適正な抗生物質使用ガイドライン作成が必要であること、を確認してきました。そして、今年のWSでは、実際にアメリカCDC/AAPのガイドライン(GL)にしたがって診療をおこない、日本の現状でその妥当性を検討しました。いくつかなじみにくい問題も確認しあい、来年のWSに向けて日本に根付かせるための修正を行い、日本版「上気道炎に対する診療GL」を作成し、それに基づいた診療が患者に不利益を与えない検証をおこなうことを予定しています。
 また、日本での抗生物質使用の現状を知るために、上気道炎に対する抗生物質使用状況調査を行うことにしました。調査用紙の届きました本学会会員の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
 今回の発表では、確定に向けて検討しておりますGL(案)と日本外来小児科学会リーフレット委員会にお願いしております「あなたのお子さんと抗生物質―不必要な抗生物質はあなたのお子さんにとって有害ですー」の原案の紹介をしたいと思っています。