第1回近畿外来小児科学研究会・一般演題抄録
演題
1999-2000年の大阪府における麻疹の流行
 一 サーベイランス情報を中心に 一
演者
○砂川冨正(すながわとみまさ)*1、岡部信彦(おかべのぶひこ)*2
所属
*1 国立感染症研究所・感染症情報センター実地疫学専門家養成コース(FETP-J) (新宿区)
*2 国立感染症研究所・感染症情報センター (新宿区)
抄録
麻疹はEPI(拡大予防接種計画)に位置付けられ、キューバやフィンランドなどは麻疹根絶を現実のものとしている。翻ってわが国では、年間10-20万人もの麻疹患者発生が推定される。2000年、大阪府で麻疹が流行した。サーベイランス情報を中心に大阪における麻疹流行の定義を定点あたり報告数が連続してO.1以上と設定したところ、1999年51週(12/7-)一2000年41週(-10/15)が定義に相当し、全国の約20%にあたる4,117名が大阪府より報告されていることが判明した。年齢分布は1-4歳児が最多(55%)で、流行は堺市より始まり大阪市で長く続き、国外への輸出例も確認された。公式の予防接種率と麻疹患者発生率とは必ずしも相関しなかった。大阪府における麻疹流行は、世界的にも大きな公衆衛生上の問題であることが明らかであった。しかし対策を講ずるための情報はサーベイランスのみからは十分でなく、目標を見据えた疫学調査が不可欠であることが判明した。