児童の権利に関する条約


第一部

第11条
  1. 締約国は、児童が不法に国外に移送されることを防止し及び国外から帰還することができない事態を除去するための措置を講じる。

  2. このため、締約国は、二国間若しくは多数国間の協定の締結又は現行の協定への加入を促進する。

第12条
  1. 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

  2. このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

第13条
  1. 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

  2. 1の権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。

    1. 他の者の権利又は信用の尊重
    2. 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第14条
  1. 締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。

  2. 締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。

  3. 宗教または信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

第15条
  1. 締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める。

  2. 1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のために民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。

第16条
  1. いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉されまたは名誉及び信用を不法に攻撃されない。

  2. 児童は、1の干渉または攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。

第17条
  1. 締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康面の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。このため、締約国は、

    1. 児童にとって社会面及び文化面において有益であり、かつ、第29条の精神に沿う情報び資料を大衆媒体(マス・メディア)が普及させるよう奨励する。

    2. 国内外の多様な情報源(文化的にも多様な情報源を含む。)からの情報及び資料の作成、交換及び普及にかける国際協力を奨励する。

    3. 児童用書籍の作成及び普及を奨励する。

    4. 少数集団に属し又は原住民である児童の言語上の必要性について大衆媒体(マス・メディア)が特に考慮するよう奨励する。

    5. 第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。

第18条
  1. 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母または場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。

  2. 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。

  3. 締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。

第19条
  1. 締約国は、児童が父母、法定保護者または児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、障害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な扱い、不当な取扱いまたは搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護するためのすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。

  2. 1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手続き並びに1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、措置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続きを含めるものとする。

第20条
  1. 一時期若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。

  2. 締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替え的な監護を確保する。

  3. 2の監護には、特に、里親委託、イスラム法のカファーラ、養子縁組又は必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる。解決策の検討に当たっては、児童の養育において継続性が望ましいこと並びに児童の種族的、宗教的、文化的及び言語的な背景について、十分な考慮を払うものとする。


こどもの権利条約
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