最近海外では助手席のエアバッグによる問題が指摘されています。助手席に後ろ向けにチャイルドシートを装備していて、衝突の際にエアバッグが作動し、お子さんが脳に強い衝撃を受け重い生涯を生じたとの報告です。それに引き続き、脊髄の損傷も報告されています。エアバッグというシステムは、シートベルトを正しく着用できる(身長130cm以上)人が、正しいシートポジションで乗車している場合には効果的ですが、他の場合はほとんど効果は期待できません。また「日本損害保険協会」は、「シートベルトをしていないとバッグが膨らんでも顔面がハンドルに衝突したり車外へ放り出されて死亡する確率が高い」と報告書をこのほどまとめています。
小児科医として、非常に心配なのは、この様に日本の車社会において、小児の安全性が、全く検討されていないということです。高速道路(一般道でも本当は同じ)でチャイルドシートを使用せずに、膝の上で遊ばせていたり、ワゴン車等の乗用スペース以外の空間で遊ばせていたりするのは本当に危険で、親の無責任と思います。チャイルドシートを利用している場合も、正しく使用できていないケースが多いようです。
以下のことを提案します。
大人がシートベルトを締めないのは、個人の勝手ですが、こどもの生きる権利は守ってやらなければと思います。
- まず、高速道路から、乳幼児の適切なチャイルドシート使用を義務づける。
- 自動車会社に働きかけ、新車購入時に付属品としてサービスするなど、低価格でのチャイルドシートの提供を促進する。
- 乳児健診や母親教室等に、乳幼児の交通安全についての指導を取り入れる。
●●● 西藤こどもクリニック ●●●