第22回滋賀県小児アレルギー研究会・抄録
演題
小児気管支喘息の気道抵抗測定の有用性について
演者
西藤成雄
所属
医療法人社団 西藤こどもクリニック
抄録

 気管支喘息(BA)は慢性的な気道の炎症が主病態とされ、日常の気道管理が重視される。その気道の状態を把握するためにピークフロー(PEF)やスパイロメーターなどの測定は重要である。しかし検査の協力が得られない乳幼児のBAは、気道の状態を確認する事が困難である。

 最近、手技の習熟を必要としない遮蔽法による気道抵抗測定装置(MicroRint)が開発され、小児のBAの気道の状態把握に有望視されている。当院でフォローを行っているBA児を対象にMicroRintを用い、気道の管理指標の有益性について検討してみた。

 調査期間は平成16年4月より同年8月まで、対象は当院を受診したBA児延べ74名(男44名,女30名)平均年齢4.8±2.3歳である。気管支拡張剤吸入前後で気道抵抗値(Rint値)の測定を行い変動を観察した。測定ができなかったのは、1歳未満で50%(1/2例)、1〜2歳が14%(2/14例)で、3歳以降は全例測定が可能であった。

 BAのコントロールが良好な児で気管支拡張剤吸入後のRint値より、各年齢の気道抵抗値を検討した。年齢をxとし、Rint値をyとした場合、y = 1.1285e-0.1188X で示される近似式が得られた(R2 = 0.4307)。

 成人ではFEV1.0,FVC,PEFとの相関がみとめられ1)、小児では喘息発作時に上昇し気管支拡張剤などの吸入にて低下する事が確認されている2)。よって、Rint値が年齢相当で気管支拡張剤の吸入により変動(特に低下)がなければ、気道は良好に管理されていると考えた。

 一方、前述の式よりRint値が年齢よりも著しく高い例、また気管支拡張剤吸入後に低下する例は管理不足を疑い、日常の様子(運動後や夜間の咳嗽の有無など)を確認し、管理薬をの至適量を検討することにした。

 こうしたRint値を気道管理指針として用いた乳幼児のBA児の診療経験をお伝えする。

【文献】

1) 山田浩之,北條貴子ら:気管支喘息患者における気道抵抗(Rint)測定の臨床的有用性.日本呼吸器学会雑誌 42, 120, 2004.

2) 飯村昭子,吉原重美ら:小児気管支喘息の呼吸機能検査における Interrupter Techniqueの有用性.アレルギー 51, 1131-1134, 2002.