ネットワークを通じた喘息患者・家族の交流

= ネットに求められている医療情報について =

西藤こどもクリニック 西藤成雄


■名称 第10回日本外来小児科学会
■日時 2000年8月26日(土)
■場所 大宮ソニックシティ(埼玉県大宮市)


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発表スライド
レジメ

1.国内でのインターネットの利用実態について

■ 約2000万人のインターネット(INET)利用者
■ NET世帯普及率 … 24.6%
■「画像を通じて医師に健康相談したり診断を受けたりできる」 … 40.8%最多
■ INET上の医療情報を利用している外来患者の頻度(滋賀県内の医療機関での調査)
		H.9.4月 … 2.5%
		H12.4月 … 11.6%

(平成12年5月に本学会サーチネットで調査 … 現在集計中)
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2.ホームページの寄せられるアンケートの回答から
滋賀医科大学小児科アレルギー外来ホームページ 

調査期間:平成9年1月〜平成11年12月、HPアクセス回数期間:60545回、アンケート回収件数:471件

■ 男女比 … 女性 51.0% 男性 48.6%(未回答 0.4%)
■ 年齢 … 30代 57.3% 20歳代 20.6%
■ 職業 … 主婦 26.8% 事務職 10.8% コンピューター技術者 9.3%
■ 患児の年齢 … 3〜6歳 27.8% 1〜2歳 13.4%
■ 罹患年数 … 3年以上 30.4% 2〜3年以内 14.9%
■ 重症度 … 軽症 34.4% 中等症 33.8% 重症 6.6%
■ 入院回数 … なし 42.3% 1〜2回 22.1%

■ 心配な事柄
 治癒の時期 … 27.6%、お薬の副作用 … 14.0%
 成長への影響 … 12.5%、治療方針の不安 … 8.3%
■ 充実を望む情報
 自宅での対応 … 224件、治療薬の詳細 … 210件
 専門医の所在 … 158件

■ 勉強会講演会の参加経験
 なし 63.5% あり 11.0%
■ 薬剤の知識
	すべて知っている	全く知らない
治療薬の名称	32.3%		11.5% 
副作用		7.4%		25.1%

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3.電子会議室での交信から
@nifty すこやか村・喘息館「こどもの喘息」

調査期間:1996年5月〜1998年8月(27ヶ月間)、質問件数:166件、検討内容:家族の性別、対象となる患児の年齢、質問内容

■ 質問した家族の性別 … 女性 43% 男性 20% 不明 37%
■ 対象となる患児の年齢 … 4歳 16.9% 1歳、3歳 12.0% 5歳 … 10.8%
■ 相談内容
項目	件数	項目		件数
お薬について 	53件
(副作用について 23件 用法について 17件  効果について 10件  名称について 3件)

治療方針について … 46件、日常管理ついて … 19件
病態について … 17件、環境整備について … 13件
診断について … 12件、他のアレルギー疾患の相談 … 6件、民間療法について … 5件、寛解時期について … 5件、他のアレルギー … 2件、専門医について … 2件、検査について … 1件、成長への影響 … 0件、遺伝について … 0件、その他の情報 … 35件

3’.すこやか村・喘息館利用者アンケート(H9.1月)(主治医からの情報、INETの利用)

■ 主治医から得る喘息に関する情報
	十分である		25%
	十分ではない	46%
	ほんとんどない	24%
	全くない		4%
■ 喘息に関する情報の入手
	インターネットによる情報の入手経験	35%
	将来は利用する				59%
■ FSKYA利用者の感想(複数回答あり)
	喘息の最新知識が得られる			69件
	質問すると専門医が回答してくれる		46件
	喘息で悩んでいるのが自分一人でないことがわかる						43件

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4.メーリングリスト
「こどもと喘息フォーラム」メーリングリスト

■ 目的 … 喘息を持つお子さんの家族や喘息患者の交流と学習、情報支援の場を提供
■ 対象 … 喘息のお子さんの家族、喘息患者、学校の先生、医療関係者、その他

参加者:97名、投稿数:657通(H12.3.17 〜 H12.8.15)、投稿数:1日約4通
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5.日本語喘息全文検索エンジンの検索ログから
Asthma Search in JAPAN

■ INET上に散在する営利目的の健康・医療情報への到達経路 → 商用検索エンジンの介在
■ 喘息患者の福利に適い医学的妥当性のある情報を提示しているホームページのみを登録
■ 平成12年6月より運用を開始、1700回を上回る利用
■ 検索キーワードの順位
H.12.5.31 〜 H12.8.15 の間に,最もよく入力されたキーワードの順位(この間、1776回の利用)。

順位		キーワード	回数
	1位	喘息	40
	2位	フルタイド	21
	3位	ガイドライン	17
	4位	テオドール	16
	5位	インタール	15
	6位	IgE	14
	7位	薬	14
	8位	咳	13
	9位	アトピー	12
	10位	オノン	12
	11位	小児喘息	12
	12位	ピークフロー	11
	13位	吸入器	11
	14位	病院	11
	15位	副作用	11
	16位	アスピリン	10
	17位	ステロイド	10
	18位	咳喘息	10
	19位	ピークフローメーター	9
	20位	治療	9
	21位	ネブライザー	8
	22位	猫	8
	23位	猫アレルギー	8
	24位	テオフィリン	7
	25位	気管支喘息	7
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6.まとめ

■ めざましいINETの家庭への普及と医療情報の高いニーズ、INETで情報収集する患者が必然的に増える
■ INETの情報を利用する方の背景
	→ 女性30歳代・主婦が多い
■ 対象となるお子さん
	→ 3〜6歳までの低年齢、軽症と認識されているが病歴は3年以上
■ 相談で多いのは、薬剤の副作用や治療に関する内容。
■ 主治医からの情報提供は、十分でないと感じる人が多い。
■ 欲しい情報も治療にまつわる情報がほとんど。
■ 吸入やピークフローメーターを中心としたものを探す人も多い
■ 勉強会・講演の出席は、もう少し促してもいいのではないか。

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【参照文献】

インターネット白書 2000
平成10年度版 通信白書
「小児科臨床」52(5)
「日児ア学会誌」第14巻第2号/2000(平12)

【紹介したホームページ】

■滋賀医科大学小児科アレルギー外来http://hope.shiga-med.ac.jp
■@nifty すこやか村・喘息館http://www.nifty.ne.jp/forum/fsky/fskya/
■「こどもと喘息フォーラム」ML
http://www.children.or.jp/ml/Asthma_ML/
■日本語喘息全文検索エンジン
http://hope.shiga-med.ac.jp/search/

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