特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

特別発言 私がぜんそくの子供だった頃

龍野清香
群馬大学医学部医学科4年

「今頃みんなは学校で何してるのかなあ。」ベッドの中でふと考える。「学校に行きたいけど発作で疲れちゃった。いつも体育は見学ばっかりだし、遠足も行かれないし、友達とも遊べないし!嫌になっちゃうな!」
 いつも思うことは同じでした。私はみんなと同じように学校に行って体育もやって遊んで…ごく普通に学校生活をして楽しい子ども時代を送りたかったのです。
 私が小児ぜんそくになったのは3歳の頃でした。幼稚園時代は1ヶ月おきに入退院を繰り返していました。小学生になってからは入院は減りましたが、しょっちゅう発作を起こして学校を欠席していました。
 私はインタールの吸入、食事療法、減感作療法をしていました。当時は今とは違って「薬はなるべく使わない」「発作が起きたらまず腹式呼吸と水で我慢しよう」「喘息は鍛練で治そう」「気持ちの持ち方が大切」という感じで、控えめな治療でした。
 そのため、たとえ発作がなくても走るなどの刺激があるとすぐ咳が出てしまうし、朝は咳で目覚めることも多々ありました。体育の授業や遠足にも満足に参加できませんでした。友達と遊んでいても、ちょっと走るだけで咳が出たり、息苦しくなってしまったりして、みんなについていくことができず、悲しい思いをするとともに、一種の劣等感を抱くこともありました。もちろん、そんな時に友達の暖かい思いやりに触れることもありましたが。
 発作を起こして病院へ行ったら、「キミのぜんそくが治らないのは、キミに根性がないからだ、気持ちがたるんでいるからだ。」と医師から言われたこともありました。子供だった私には反論する余地もなく、処理しきれない思いを胸の中にためこんで悶々としていました。
 現在、ぜんそくの治療は薬をうまく使って発作を予防するという方向に変わってきているとききます。小児ぜんそくであっても、子ども時代をめいいっぱい楽しめるようになって欲しいと願っています。


トップページ前のページ | ページ先頭

[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科