特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

4.交流から生まれる相互教育効果

井上 まや
蒲公英(たんぽぽ)の会:小児喘息またはアトピーの子を持つ親の会

 蒲公英の会は、平成3年11月、茨城県保健所主催ぜんそく教室参加者の有志で発足した親の会で、会報の発行、講師をお招きしての講習会、会員交流会など地 元を中心に活動してきました。パソコンやインターネットの普及に伴い、平成11年7月にホームページを開設したことから、会員が全国に広がり、現在に至っています。
 喘息児を持つ親が、交流会や講習会に出かける事はなかなか難しく、喘息に関する情報源も主治医のみとなりがちです。インターネットは、自宅で自分の都合の良い時間に利用でき、無限に思えるほどの情報を得ることが出来ます。親の会の情報交換や交流の場として、大変便利なものです。一方で、あふれる情報からどれを選んだらよいのかという問題もあり、いわゆるアトピービジネスの格好の標的になりかねないという危惧もあります。そこで、当会では医療は患者と医師とのコミュニケーションの上に成り立つものと認識した上で、「特定の病院や治療法は勧めない」「プロの患者を目指す」という方針を掲げています。患者同士結束して支えあう事も大事な柱ですが、患者側の意識を高めていく役割もまた大事な柱と考えています。また、当会では、喘息のコントロールは、その子どもの人生の目的ではなく、成長を支える重要な要素に過ぎないと考えています。また、会員の子どものすべてが喘息児とは限りません。患者同士の支えあいの中には、子育て支援の要素も欠かせないものです。
 医療と同じく、患者会も会員同士のコミュニケーションの上に成り立つものです。一部のスタッフからの一方的なアドバイスだけでは、スタッフが磨耗するだ けで、会員の意識も向上していきません。当会では、インターネットだけではなく、会報やいろいろな形の交流会を通じて、会員同士がつながっています。当会の活動を整理し、ご報告することによって、患者教育における患者会の役割を示していきたいと思います。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科