特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

3.小児ぜんそくの楽しい治療と患者教育
 (当院の治療方針と、ナースの役割について)

○山本淳、中臣亮子、關本千代子、小林晴美、佐藤陽子、谷口美沙、山田優子
 星川小児クリニック(横浜市)

 私たちの治療方針は、一貫して「がまんする」「鍛えて治す」「薬に頼らない」といったことを否定することから始まっている。
 例えば軽い発作を自己コントロールと称して「飲水」や「腹式呼吸」でおさめるようなことを勧めることが一部で推奨されていたような時も、それは患者をコントロール不良の状態に慣らすだけで有害無益だと思っていたので、「そんなことに頼っているようじゃあだめだよ」と、笑顔でこっそり否定し続けてきた。自覚症状やQOLを基準にしたその場をしのぐ治療ではなく、より質の良い治りかたを追求してきた。
 もちろんこのような方針を批判されたこともあるが、たび重なる発作のため、長期入院療法をすすめられたが疑問を感じ、近県から転院し遠距離通院をしている子どもたちですら、楽しく治療を続けているので、おそらく間違ったことはしていないのだろうと考えている。
 当院における基本的な診療スタンスは、「ぜんそくは楽をすればするほど良くなる実に都合の良い病気」であることを確実に患者に伝え、発作がほぼコントロールできた状態のまま、安心して、しかも楽しく治療を継続してもらうことである。その楽しさは、たとえインターネットで処方箋が発行できる日が来ても、やはりクリニックでの患者と医療スタッフの間の直接のコミュニケーションから生まれるものだと思う。
 コミュニケーションを考える上で、キーになるのが「ナース」の役割だ。当院では、医師1名の開業小児科医としては比較的多くのナース(常時3〜4名)が勤務し、前述のような院長の方針のもとで、患者に治療方針がきちんと伝わっているか、薬物療法に対する知識が理解されているか、環境整備の重要性とともに、お母さんの負担はどうか、そして楽しく治療を続けているかなど、単なる予診や診療介助ではなく、情報支援、気軽な相談役もできるような外来看護業務を行っているつもりである。
 今回は患者さんへのアンケートも実施し、そういうナースの役割が患者からみてどう評価されているかも検討し、発表する予定である。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科