特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

2.喘息患者やその家族へのオンライン支援(小児科医から)

西藤なるを
西藤こどもクリニック

 今日インターネット(INET)の普及はめざましく、健康や疾病に関する情報も患者や家族が容易にアクセスできる時代となった。国内では外来を訪れる世帯の8.5%がオンライン(OL)の医療情報を利用したとの報告がある。そして利用者の割合もここ数年で急増している事も指摘されている。
 INET上の医療情報を患者に勧める事に懐疑的な意見もあるが、もはや日常品と化したINETの利用を制することは困難である。特に喘息・アレルギー疾患の場合、治療の場がほとんど家庭であり、身近に豊富な情報な提供してくれるINETを患者が疾病対策に役立てようとするのは当然の成り行きである。「どの様なサイトの情報を使うか」「どういうときに使うか」「いかに使うか」について説く時代が来ている。
 特にOL支援は既存の医療にないメリットが多い。まず一人の医師の労働資源を従来と比較にならないくらいの大勢の患者に容易く分配できる点である。メーリングリスト(ML)を構築しその中で質疑を行えば、参加者全員に説明が行き届く。その内容のWeb公開すれば、INET利用可能なすべての喘息患者が利用できる情報資源となる。
 また静的情報のコンテンツの配置にとどまらず、検索エンジンの設置はより素早く目的の情報に達することが可能となる。さらに個々の患者に喘息管理の支援ツールをOLで提供も可能である。患者毎に望む情報を能動的に提供する仕組みを持ったINETアプリケーションの開発により、医師としての最小限の労働が最大の患者に恩恵をもたらす手法をこれからも追求すべきである。
 「こどもと喘息フォーラム」MLの運営、「日本語喘息全文検索エンジン」の提供、そして「オンライン喘息日誌」の開発、そうしたOL支援してきた経験から利用する患者の背景とその利用例を紹介したい。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科