特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

1. 小児喘息治療の変遷と患者教育

西川清
にしかわクリニック

 日本の小児喘息治療は、極めて希有な道のりを歩いてきました。当初は、喘息の病因について専門家の間でも全く一致したものがなく、百人百様の病態論を主張し、それに従って患者教育がそれぞれで行われた時代でもありました。喘息発作で苦しみながら、良くなりたいと願って、病気と治療についての知識を少しでも得ようと努力する家族の気持ちに今昔の違いはありませんが、これまでの道程は決して楽な道ではありませんでした。
 小児喘息の知識を伝えようとする医療側の方法としては、喘息教室、喘息児サマースクールなどの直接指導、単行本や一般参加の講演会、マスコミを使ったキャンペーンなどがありましたが、ともかくも治療側で病因論も治療法も全く一致しない時代は患者にとっても迷惑な時代でありました。
 そしてようやく気道炎症と炎症治療という一つの形に整いつつある時代に前後して、IT時代がやってきました。その先駆けとして自分自身患者でもあった久保先生がNIFTYで医師、co-medical、患者の参加で喘息館を立ち上げ、その後参加した私も、その斬新さに感動しました。その頃からいくつものメーリングリストがうまれ、いつでもどこでも誰でもが参加できる形ができあがりました。
 今後の問題点は、もちろん何を伝えるかが重要でありますが、伝える側が最新で最良のものを伝えられるだけのリフレッシュが出来るかどうかと、それを伝える方法とそれに関わる人たちの基本的な約束事なども重要になってくると思います。
 ともかく今喘息治療と患者教育が理想の形に近づきつつあると実感しています。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科