特別セッション: インターネット時代の喘息児患者教育

司会の言葉

座長 西川 清(にしかわクリニック)
   宮武明彦(医療法人宮武内科)

 我が国の小児気管支喘息治療は30年間、様々に目まぐるしく変化してきましたが、ここに来てようやく念願であった理想の形(無発作、制限や強制のない普通の生活、自由なスポーツ、肺機能の正常化、安価で簡単で副作用のない治療、願わくば完全治癒)に集約されつつある感があります。
 一方治療者から患者への情報と治療方法の伝達システムも、ちょうど時を同じくしたITネットワークの発展もあり、早くから各地で様々の実践がなされてきました。
 ITを利用した患者指導と従来の指導との大きな違いは、一つは治療者と被治療者が情報を介して同レベルにいること、もう一つは参画する被治療者及び家族同志も瞬時に同じ情報空間に入るという点にあり、更には複数の医師群、患者群の参画も可能となります。
 最も古典的な図式は一医師―患者、しかも情報は一方向の流れでしかなかった時代、とりわけ我が国特有の「発作に耐え、鍛えて治す」に代表される治療が主流であった時代には、医療の進歩の過程とはいえ、患者にとって過酷で不遇の時代でありました。今後「即座に最良の医療が提供される」ことが最終目的でありますが、ほぼ集約されつつあるとはいえ、医師の間でも何が最良であるかのコンセンサスが残念ながら未だ出来ていないという大きな問題もあり、その普遍化と、インターネットを始めとする情報交換システムによって、日本中どこにおいても速やかにその恩恵にあずかれる状況が実現出来ればと願っています。

 今回のシンポジウムでは、この大きな流れに先駆けてactivityを続けて来られたパイオニアの方々にそれぞれの活動についてお話し頂いた後、フロアの皆さんを含めてのご討論を頂き、今後の喘息治療の伝達方法のあり方、理想形を模索したいと思います。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科