治療・症例

20. 排便後Near-fatal asthmaをきたした1例

○平場一美1)、太田 明2)、西川 清3)、
1)国立療養所香川小児病院 呼吸器科医師 2)同 小児科医師
3) にしかわクリニック 医師 

 アスピリン喘息・11歳男児が、排便後に喘息発作をきたし、その直後に失神・呼吸停止を認め母親の人工呼吸を受け当院搬送となった。意識回復後喘息発作と、蕁麻疹が出現したため、食物または添加物によるアナフィラキシーを疑った。しかし、血液検査上は多種食品にアレルギー反応陽性であるにもかかわらず、そば以外の食物負荷試験は陰性であった。また、今回エピソード前の食事について負荷試験を行ったが再現性は認められなかった。その後、便秘を来した後の腹痛時や排便時に喘息小〜中発作をきたすエピソードが数回あり、喘息発作および失神の原因として血管迷走神経反射を疑いhead up tilt testを施行した。結果は陽性で、患児の失神は神経調節性失神であると考えた。
 排便・排尿後にNear-fatal asthmaを来した症例は多く報告されおり、喘息死と、神経調節性失神の関連性が示唆される症例と考えられた。


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[第19回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会]
大阪府立羽曳野病院アレルギー小児科