寝具からダニを減らす4つの方法

寝具の中綿1g中のダニ抗原量を2μg以下にするには、次の方法が考案されています。

 1.電気掃除機で吸塵する
 2.布団の丸洗い
 3.防ダニ布団カバーの使用
 4.防ダニ布団を使用

以上の方法について順を追って説明していきます。

1.電気掃除機で吸塵する方法

チリダニの卵が幼虫になる期間が約1週間といわれているため、週1回使用しているすべての布団、枕、毛布等の表裏とも1平方メートル当たり20-30秒間電気掃除機をかけるのが目安となります。普通の床用ノズルが使いにくければ、寝具用ノズルを使用し、掃除機の集塵袋は集塵力を上げるために、できるだけ新しいものを使うようにするなどの注意が必要です。

布団の天日干しの有効性については一定したデータはありませんが、布団の中がチリダニの発育に最も適した条件(温度25℃、湿度65-75%)になることを考えると、乾燥させることが必要です。ただ、布団の天日干しをすることは都市部や集合住宅では困難な場合があり、さらに共働きの家庭では人手の関係で十分に干すことが出来ないことがあります。黒い布をかけると良いといわれていますが、十分な効果は望めず、ダニが死滅するためには、布団の表面が20分間、50℃になる必要があり、布団乾燥機にかけただけでは不十分で、乾燥後にさらに掃除機をかけることが必要です。

2.布団の丸洗い

布団丸洗いは機械洗いと足踏み洗いの2つがあり、いずれの方法でも、何回またはどのくらい洗浄するかは業者により異なるため選択は難しいのが現状です。布団丸洗いの効果は、布団を使用しない場合1ケ月は持続しますが、毎日使用する布団では、部屋の掃除の頻度、布団カバーの洗濯回数などでダニ暴露に大きな違いがでます。やはり、掃除機をかけることが不可欠です。

丸洗いすることで防ダニ対策を提唱している布団がいくつかあります。洗濯工場で布団丸洗い後に、ダニ抗原量が検出限界以下になっていることを検査し返送するシステムがとられていればよいのですが、自宅で洗濯することになると、ダニの糞は洗い流れてもダニの死骸などは繊維に絡まって残存してしまいます。チリダニでさえ発見できない大きさなのに、ダニの糞や死骸などはなお確かめることは不可能です。何回すすぎをしたら中綿1g中のダニ抗原量が2μg以下になっているかのデーターもありません。なお、木綿素材の布団は化繊素材のものに比べて、布団洗濯後、乾燥するまでの時間がかかりすぎ、寝るまでに乾かないこともあります。布団の丸洗いは大変な作業になります。

3.防ダニ布団カバーの使用

布団カバーの繊維を高密度にし、ダニやダニ抗原を布団に入れない、あるいは布団から出さないようにする方法です。すでに、数種類の防ダニ布団カバーが販売されています。カバーの素材は木綿よりモノフィラメント繊維の化繊くポリエステル、ナイロン等)で織るほうが、より高密度の生地を作れます。しかし、肌に直接触れる布団カバーは、吸湿性がないとビニールのようにベト付くことになります。また、化繊素材に過敏の方もおりますので、製品選びには注意が必要です。

最近では、ダニ抗原の通過阻止効果が99.9%、化繊85%、綿15%の生地で吸湿性に優れ、天然素材のキトコラ誘導体(キトサン+コラーゲン)使用で黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎ、静電気が発生しないよう導電性繊維を織り込んだ画期的な防ダニ効果を持ち、かっ使用感の優れた布団カバーが発売されています。なお、新しい布団を使用していても、部屋の掃除や布団の清潔管理が十分できていないと、3ケ月ほどで驚くほどダニが増えたという報告もあります。

 → 防ダニ布団カバー/ アレルギー予防寝具のページへ

4.防ダニ布団を使用

防ダニ布団はいくつかの種類があります。中綿の繊維に薬剤を吹き付けたり、薬剤をマイクロカプセルの中に入れ繊維の中に編み込んだりしている防ダニ加工綿を使用している製品と、防ダニ布団カバーと同様に高密度繊維でダニやダニ抗原の侵入を防ぐ製品があります。中には、両方の防ダニ効果を取り入れた布団もあります。

薬剤使用の製品は、中綿にダニ忌避剤を使用しているものが大部分で、布団の側生地に使用しているものはありません。しかし、中には揮発性の薬品や殺虫剤系の薬品を使用しているものがあり、安全性の上で、問題のある製品もありますので、注意が必要です。

使用期間が長くなり、おねしょ等で汚れた場合、丸洗いをすることがあります。丸洗いしても、防ダニ効果が消失しないことも求められる性能です。

防ダニ加工の中綿を用いた布団が通信販売等で売られていますが、どの製品も側地に布目が大きい綿サテンやブロード生地を使用しているためダニ抗原が容易に入り、表示通りの防ダニ効果が得られていないという報告もあります。

高密度生地が使われている防ダニ布団がいくつか販売されています。木綿の生地と木綿わたを使用している製品があります。これは科学的な立証という点で問題のあるデータを利用し、誇大広告をしているもので、日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎・不適切治療健康被害実態調査委員会でもアトピービジネスの一つとして問題があると指摘されています。

また、高密度化繊生地と化繊わたを使用している製品がありますが、これは価格が高すぎて、計費用効果の上で問題があります。

いくつもの製品群のうちでも特に優れているものとして、中綿のダニ忌避効果と高密度の側生地を使用し、両方の防ダニ効果を取り入れている布団があります。この布団は1年間使用後でも、15検体中14検体からダニ抗原が検出限界以下で、1検体から0.4μgとWHOの基準値(中綿1g中のダニ抗原轟2μg = 百万分の2g以下)をクリアーし、検査の方法として最も信頼出来る二重盲検での治験で、ダニ及ぴダニ抗原量の増加を抑制する効果が確認されています。

 → 防ダニ布団カバー/ アレルギー予防寝具のページへ

アレルギー疾患の元凶といっても通書.でない、室内のダニ抗原をいかに制御するかを考えると、ダニ抗原の多さから、ジュウタン、畳、ソファーよりも布団の問題が浮上してきます。布団の防ダニ対策として、電気掃除機で吸塵、乾燥、丸洗い等が試みられていますが、いずれも大変な労力を要します。結局、ダニが増えにくい布団と布団カバーを用いるのが手っ取り早く、確実ということになります。今や、安全で、長期間の使用に耐え・使用感にも優れる防ダニ布団・防ダニ布団カバ」が開発され・市販されるよう'になりました。もちろん、アレルギー対策は布団も含めて、室内の清潔管理が大切です。


こどもと喘息 >> 自宅の環境整備
 西藤こどもクリニック